打楽器としての三味線

テキストや楽譜を使って、一人で練習していると、どうしても左手の方ばかりに気を取られてしまって、ついつい三味線本来の音を忘れてしまうことがあります。
もちろん、左手で正確にポジションを抑えることも重要です。しかし、音程を奏でて、曲のメロディをなぞるのは、本来は「唄」の役割です。
三味線という楽器は、唄無しでは成立し得ない楽器です。(極僅かに、古典でも唄の無い器楽曲があります)唄方、または自分の唄に対して、正確なリズムを渡し、歌いだしのキッカケを与えるのが三味線の大きな役割であると言えます。
胴の部分に、猫や犬の皮を目一杯伸ばして高い張力を維持させ、しなりのある大きな撥を用いていることからも、打楽器としての性向が強いことがお分かりいただけるかと思います。
和太鼓にチャレンジしたことがある方はご存知かもしれませんが、楽器に対して体重を乗せて演奏することは、なかなか習得できることではありません。見よう見真似でただ勢いよく叩いても、軽い音しか出すことができないのです。
楽器の本体に対して、操作する道具(撥や爪、弓など)が大きければ大きいほど、上手く体重を乗せるのが難しくなります。
さて、
打楽器的な性向が強く、さらに撥の大きな三味線。さらに構え方も、テコの原理をいろいろな箇所に利用してバランスを保っている、独特なスタイルです。
結論としましては、特に習得初期の段階では、独学のみに頼らず、極力専門家のレッスンを受けるようにしてください。
その時に、撥先への体重のかけ方をじっくり観察するのが、撥サバキ上達の早道です。
名人と呼ばれる方の三味線を聴きますと、それこそ開放弦の一音だけで、鳥肌が立つような説得力を感じることができます。
hozumi

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