長唄の譜本(楽譜)
教材として利用する、長唄の譜本(楽譜)が足りなくなってきましたので、急いで取り寄せることにしました。
一冊998円ですからほぼ千円ということで、結構な値段がするものです。
それでも譜本を1冊1冊買って、長唄の各曲に向かっていただくのには、理由があります。
もちろん、譜本の版元と共存していくためというのもその一つですが、もっと大きな理由として、その1曲1曲が大きな財産であるからです。
例えば、松の緑、末広狩、五郎時致といった曲は、いずれも作曲が天保~安政年間ですから、すでに150年以上の年月を経て、現在に伝わっていることになります。
現在、長唄三味線を始める方のほとんどが、上記の曲を入り口としてお稽古されていることと思います。
また、この先100年経っても、同じようにこの曲がお稽古に重宝されることでしょう。
コピーした譜面では、引越しや大掃除といった機会に紛失してしまいがちです。
きちんと製本され、自分の書き込みがたくさんある譜本は、それ自体もすでに財産ですし、またその背表紙の数が増えてくることに喜びを感じることでしょう。
数年、数十年後にその譜本を開くと、お稽古されていたときの三味線の音やメロディが甦ってくるはずです。
穂積