撥のスピードと運動

三味線の右手の奏法(撥使い)を考えるときに、ラケット類を使用するスポーツに例えて考えてみると明解になることがあります。
三味線の音量を単純に大きくすることだけを考えると、三味線のスイングスピードは速いほうがいいということになります。また、三味線の場合には撥が皮に当たった時の「撥音」というノイズも、重要な演奏の要素ですので、撥にかかる重さ(撥の圧力)も大きいほうが「大きな音量」に聞こえるでしょう。
テニスやバドミントンといったラケットを用いるスポーツの場合、手首の筋力や握力は確かに非常に重要ですが、鋭いショットを打つ場合には、腰・肩といった大きな筋肉を利用して全身をばねのように使ってスイングします。手首の筋力や握力といった小さな末端の筋肉は、ラケットが球にあたる瞬間のインパクト時に重要になってきます。このインパクトの無いスイングは、向かって来た球のスピードを反発力として活かすことができず、いくら高速なスイングでも力のあるショットを打ち返すことができません。
三味線の撥の場合、ラケットと比べればとても小さいものです。したがって、肩や腰といった大きな筋肉を使わなくとも、手首の力だけで演奏することも可能です。しかし、テニスやバドミントン、卓球ですらそうしないように、小さい筋肉による撥の制御は、どうしても大きな音量にはつながりません。
つまり、より高速なスイングスピード、撥圧力を求めるならば、肩や腰といった大きな筋肉を使った運動が必要になります。
また、三味線の名人の演奏を聴くと、まるで三味線の糸がゴムひものような弾力を持って聴こえてきます。
三味線の糸は細い絹糸をよって作られており、非常に伸縮性が高いのが特徴です。この三味線の糸がもつ伸縮性を最大限活用するには、糸を弾いた後の反発力を一切殺さないような撥使いが必要になります。
ラケットスポーツで「向かって来た球のスピードを反発力として返す」のと同様、しなやかな手首の筋力と握力による瞬間的なインパクトでこれを実現します。
少し具体性を欠いてはいますが、なんとなくラケットスポーツ(野球やゴルフでもいいのですが)との共通点が見えてきませんでしょうか?
具体的な方法については、また次回以降に。
hozumi

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